仮面福祉会

できることを切り売りしています

むすびつかずに感じられない

夜中暑くて起きる。冷蔵庫に入れた水を飲もうと開けるが、中身が全然出てこない。

凍っている。

ホテルの冷蔵庫がそんな冷えてること、ある?

 

朝一でバスターミナルに行き、1日券を旅行支援クーポンで買った。ついに、この制度が使えたぞ!と拳を握る。

こりもせずシーカヤックをやりに、今度は湖、然別湖まで、バスで2時間近くかけて行くのだ。もともと予約していた時間では、帰りの飛行機に間に合わないとわかり、昨日慌てて時間を変えてもらった。あぶない。尺度が海外旅行だ。

普通の路線バスで、通学生たちが乗り、高校のバス停で降りていく。すごいところに通っているなと思うが、私の高校もバスだと2本乗継で1時間かかってたから大差ないか。

山に近づくにつれ景色が北海道らしくなる。紅葉も見頃らしく、車窓を満喫した。

 

しかし山の上はそううまく行かない。

路線バスには信じられない山道を抜けて湖に着くと、紅葉は終わり、時折風が強く拭き湖面が荒れていた。そうなると写真で見たような青い湖は叶わず、ここにも運はないかと若干しょんぼりする。しかしカラマツとダケカンバが交互に連なる様子は、北欧のイメージに近く静謐として良い。様々な鳥が生活するのを垣間見るのも楽しい。

漕いでいるうちに風はますます強まり、というか若干雪混じりでスキーの時のような音がし、急な過酷さを味わう。風を背に受けると湖面が後ろから先まですごい勢いで毛羽立って行くのがわかる。思いたくはないがどうしても、この光景ジブリで見たな、と思ってしまう。ハヤオが天才過ぎるのがいけない。

終える頃にはすっかり空は曇り、早い時間にして良かった。バスが来るまで、昨日の弁当のごはんをにぎったのを食べる。期せずして冷凍ごはんになっていたやつ。

路線バスで少し下れば晴れて、再び長閑な秋の平野が広がっていた。

 

飛行機まで時間があり、あとやり残したことといえば、ばんえい競馬だな。と、競馬場まで小走りで向かう。競馬場の敷地内に直売所があり動揺するが、今回は野菜は買わない。北海道は送料が高いから。代わりに、ばんえい君のタオルハンカチを勢いで買ったら千円近くしてぎょっとする。高いな。

入場するとすぐにコースで、急に馬が現れ驚く。府中競馬場しか行ったことがないから、とてもコンパクトに感じられる。

そして馬がでかい。お尻から腿がむちむちしていて、見るからに馬力が凄そうだ。パドックからスタート位置まで移動するのに、騎手が乗っているのが意外であった。

 

やりきった感で空港に着く。行きのトラウマでだいぶ早めに保安検査場を通った。ぼんやりしていると東京から便が着き、制服の人々がわいわい通り過ぎていった。最後尾で先生らしき人と歩く子が、田舎だ!とはしゃいでいた。

飛行機は飛び、東京に近づくにつれ地上に光が集まる。都会だ。あの高校生らにとっての東京と、私にとっての北海道は同じだなと思う。