仮面福祉会

できることを切り売りしています

2022-11-01から1ヶ月間の記事一覧

若干のプライベート

虹色の水草の謎に迫るのを見る朝。 ここのところ、地球の不思議的な番組が続いているが、何よりもまずそこへ辿り着く人間への労いの気持ちが勝つ。紅葉し枯れる過程で様々な色を帯びる水草と川はとてもキレイであった。しかしそこは、道なき道を四駆で走った…

最後の晩餐に選ばない

家のコルクボードに肉の日のチラシが貼ってある。 独り暮らしの時に、果たして牛肉を買ったことがあっただろうか。母はちょくちょく、安かったと言いながら買ってきて食べさせてくれ、食事に対する意識が違うのだろう。私にとって肉は、嗜好品に近い。おいし…

一方的におしまい

午前に予定がないのでずるずると寝る。途中数回起き、繰り返し楽しくない夢を見る。 今読んでいる三島由紀夫の豊穣の海は、夢で来世を見る設定だ。それについてこの間雑誌に、三島由紀夫は夢を見ない人で、夢を見ない人らしい整然とした夢だ、と書いてあった…

失物出ずる

しばらく乗らないうちに自転車の鍵が行方不明になっていた。急ぎの用もなくそのままにしていたが、いよいよ用ができたので真面目に探すと、スペアが2つ見付かった。それらの鍵は、INYというプレートのついたキーホルダーに付いていた。こんなフィクショ…

先手を考える根気がない

職場へ行き、掃除機をかけ、茶を入れ、仕事を始める。今日も人が少ない。タスクを書き出し順番に済ませているはずなのに何だか終わらない。 関係者から相談されるのが業務の1つである仕事をしている。よくある類いの相談のはずが、受けるものによって周りを…

ええかげんせえよじぶん

事務所に着くと、エアコンがついている。休日出勤のやつらよ。 電話が鳴り、20代前半の職員から、父が亡くなりましたと言われぎょっとする。なるたけ平坦に応対をし、休みの日数などを確認し終えた。ほんとうかな、と思ってしまうのを、病気、介護、危篤、死…

無責任を満喫する

痛いことがわかって買ったブーツを攻略し、いよいよ快適にしょっちゅうはいていて満足度が爆上がりである。意外に防水で雨の日も気にせずいられる。今年買って良かったものとしてお勧めしたいぐらいだ。 そのブーツで、平成中村座のロゴの入ったビニ傘をさし…

教わった記憶のないことを教える

アイスを冷凍庫に入れ忘れた。 朝の支度をしながらはっとして、カバンの中から取り出すと水分がつまった袋であった。 当たり前すぎる。 ムリだとわかっているが冷凍庫の中にそっと寝かせた。 それから携帯を忘れた。文庫本はあとがきしか残っていない。何も…

朝の段取り

化粧をせねばと洗面所に入るぐらいの時間に母が起き出してきてかち合う。今日は両親で病院に行かねばならない用事があると聞いていたが、朝早いとは知らなんだ。モーニングルーティーン、すなわち段取りに、いきなり阻害因子が現れて困る。 うかうかと仕事を…

思考が霧散し続ける

何年か通ったおばあさんの家に行かないことになった。久しぶりに、時間を気にしなくて良い日曜日である。のろのろ起き出して朝御飯を食べる。 テレビはサッカー、サッカーの話題しかないらしい。概ねスポーツは楽しく見るが、サッカーだけはなぜか興味が持て…

一人称の世界

気が進まなくなってしまった舞台のチケットを、譲ろうにも譲れず結局見に行った。 シアタートラムで夏の砂の上。セットの転換がなくずっと居間だけで進む。気が進まなかったのは単純に暗そうだから。そして実際に暗いし、絶望的だし、その絶望が日常に寄り添…

まっさらにして去る

訪問先の職員さんに吊し上げられ罵倒される夢を見て起きた。 2階からリビングに目をやると既に明かりがついていて、父のゴルフを知る。我が家では、つけたら消す、という教育はあまりされないまま、大人になってからはむしろ存在を示すための点灯が迎行され…

塀だけの定礎

毎朝、剣岳に分け入るのをテレビで見ていて、いよいよ死の匂いが濃い。映像が届いているということは無事だったのだろうが、人間が正気で向かう場所には見えない。岩壁を登りほとんどない足場に入り、あれ、帰りはどうするのかいな。帰路は省略、はゲームや…

異常な愛

観念して、この間買ったスラックスのタグを切った。姿見を一生懸命見ても仕方がないし、自分に対するしっくりこなさを他人が感じることはまずないだろう。 柿がやたらめったら安いからと最近母がよく買い求めてくる。それで朝、好き放題に柿と、バナナとさつ…

一筋の光の美しさ

起きるのに難儀なほどではないが朝肌寒く、躊躇いながらガスファンヒーターをつける。すると、設定温度よりも室温が低く表示されるので、つけたことを許される気がする。我々は毎年、木造建築のリビングの冬をこれ一台で乗り切っており、思えば頼もしい奴な…

怖い気持ちで責めてしまうかもしれない

随分前に取った舞台の日に、別の予定を入れたくて、どうしようどうしようと悩んでいるうちに、チケトレの出品期限になってしまった。こうなればもう行っても行かんでも支出は一緒だが、ならばどうしても行かなきゃ損である。何故だろう。 考えがまとまらない…

いきなりノスタルジー

父が泊まりがけでゴルフに行くのに、ゴルフバッグを送ることを母に頼んでいた。加えて旅先で世話になる家へのお土産も頼んでいた。そうか、自分でやらないんだ。 細々とした日常の事務のやりようを、もしかしたら、父は知らないのかもしれない。やってくれる…

だんだんに狭まる

衣服というのは大きくは下着とそうでないものに分けられる。実家に戻って以来、そうでないものを自分だけ別に洗うようになった。洗濯機が、限界まで脱水する設定にされたうえに、搾られた状態で何時間も放置されるのが日常だから。しわっしわの衣類にせっせ…

けやき優先道

昨日勢いで買ったスラックスをはくも、サイズが合っているようないないような、コンディションにもよるような、悩んでしまいタグを切る決意ができず保留とする。 何度鏡を見てもうつし出されるのが自分である限り永遠にしっくりこない。それはもうわかりきっ…

日付変更線が5時

毎日、今日こそはコンタクトをつけようと思うが、どうしても、永遠に、右目がかゆくて断念している。出張があるので、唯一上下揃っているスーツを着てメタルフレームのメガネをかけトレンチコートを羽織りローファーをはいて家を出た。 何ヵ月か前に、車が突…

勝手に被れ

痛いブーツはもう痛くない。勝った。 電車で隣に立つ人が、鞄を地面に起き、乗り降りが起こるごとに足でずるずると引き摺っている。主に高校生がやりがちなこの所作は、置き去りになりそうだし鞄が真っ黒になりそうだし、一向に理解ができないもののひとつだ…

私の影を見ている

最近の朝のBSは、世界の街歩き。ヨーロッパのイメージの強い番組だが、アジアに入ってきている。 テイストは一貫しているが、訪れるのは草原や農村から出稼ぎで都会に来た人びとの住みかなどで、清貧、と言えば良いのか、ヒリヒリするような生活の匂いとBGM…

山田太郎みたいなもの

謎に暑くて夜、何度か起きる。 母が珍しく早々に出掛けた。 弓の試験の手伝いに行かねばならず、それが7時半集合だとかでなかなか鬼な。 そのドレスコードが上下黒スーツに白シャツと言われ、ほとほと困っていたのが数日前のことである。黒スーツや白シャツ…

収穫の喜びが天高く肥える

家を出ると毎日秋晴れでいっそ怖い。バスが混み、町の中心では毎日何かしらの祭りが開催されているらしい。祝いに祝っても祝い足りないのが、実りのありがたさというものなのかもしれない。 いっぽうおばあさんはますます心配な感じ。ただ、冷蔵庫の中は整理…

勝手な嫌悪を呼ぶ自意識

起きたあとにもだらだらと寝た。 数ヶ月会っていた婚活相手に振られて以来、暇なのである。こうしていると、休みなく働いていたり子どもを育てたりしている人々との距離がぐんぐん広がる気がして焦る。どうしていたって事実広がるしかないのだが。 かき氷を…

あんこはしあわせ

隣の部屋の電話が一斉に鳴り始め、時間になったのがわかった。 開業とともに鳴るのは知れたことで、しかし一向に止まない。つまり、取れていないということだ。何で。という無策のイライラを半年以上繰り返している。互いの無能を突き付けられるよう、という…

聞いて詮のないこと

基礎体温計にたまったデータを移すのにアプリを起動したら、まんなかに?マークがでかでか表示されていた。周期が判定できないと言っている。そういわれてみれば、10月は月のものがなかった。太ってるし、元気なのに何でかしらとぼんやりしていたら、きた。…

人生の道楽

今日も果敢に痛いブーツを履いて家を出た。痛いのはふくらはぎに当たるところで、保湿クリームを塗り摩擦をこなす。 それ以前に、夏を終えると私の肌は即座に粉がちになる。湿度もあるが、血の巡りが悪くなるせいではないかなと踏んでいる。しかし体が冷えて…

身の丈を合わせる

春頃から、オニツカタイガーのブーツがずっと気になっていた。ずっと気になり続けているのでもう買うか、と決めた頃には新しいシーズンになり、品切れになっていた。残念だったのう、と半ば諦めつつメルカリを冷やかしたら、ちょうど良いサイズのがちょうど…

木の葉で隠す

10月が終わることがこんなにも恐ろしい。 10月で、長く続いていたことが終わり、様々な人がいなくなる。そして新しい生産ラインを動かし始めなければならない。雲を掴むようで不安である。 そんな最終日、送別するはずの派遣さんがワクチン接種副作用で休み…