仮面福祉会

できることを切り売りしています

前の10年、後の10年

弟が急に冷蔵庫とベッドを届けると言い出したから、スペースをあけて待つ連休最終日。午前も終わろうとする頃、敷布団を引き取りに両親がやってくる。
母は長年、三菱の軽自動車を愛用している。それがもう、20年物になりつつあったから、最近ようやっと買い替えた。同じ車種と色の、ちょっとだけ新しい中古に。まるきり同じでないと嫌だという執着は激しく、前のと違っているナンバーまで直す予定なのだと言う。
しかし、電気自動車になる、という劇的な変化を遂げている。
まるきり一緒なのに根本的には全然違う、というのは、いい進化だ。去る車を見送っても排ガスに巻かれないところが、単純にとても良い
生産終了になっている車だから、いっても10年ものの中古車である。ただ、10年後には、母は80歳になる。そういう逆算をする年齢なのだということを、思いがけないタイミングで思い知らされるのだった。

13時近くなりようやく、引越し業者の人がやってきた。せっせと設置してくれる様子を、呆然と見守るかたち。
ベッドが、聞いていたより、20センチぐらい、でかい。
それから弟の雑な仕事で、チリも埃も何もかもそのまま運び込まれてうわあとなる。貰う手前贅沢は言えないと頭ではわかっているが、ちょっとは綺麗にしておいてくれよとつい、思う。とりあえず冷蔵庫の部品を洗い、ベッドパットを切り刻んでゴミ袋に詰めた。

夕方に差しかかる時間にようやく目途が立ち、替えのシーツなどを買いに出かける。第二次転居の感で疲労がひどい。厚い雲が出て風が強く少し寒い。

冷えた冷蔵庫にキャベツとマフィンと、未開封の買い置き豆乳をしまう。冷蔵庫の上に、ずっと床置きしていた電子レンジを置いた。
生まれてこのかた布団生活だったから、急に現れたマットレスの存在感が怖い。恐る恐る寝てみると、ホテルにいるような気がして快適だが落ち着かない。