仮面福祉会

できることを切り売りしています

そういう人が暮らしている

駅に向かう途中、資源ゴミ回収のコンテナのところに「食べ物の容器は洗ってください。虫がわきます」と貼り紙がしてある。注意書きがあるということは、それをする人がいる、ということだ。近所であればある程、具体的な家を想像してしまう。付き合いはなくとも人の暮らしを確かに感じ、共存しながら生活をしている。

 

昼前から出張なのでスーツを着る。これがちょうど良い気候なのが奇跡のように思われる。

電車で1時間ほどかかるところまで、他の担当と4人連れで向かう。車内であまり話しても迷惑だが、黙っているのが気まずいほうが勝ち、ちょぼちょぼ話す。

降り立った駅は、他のどこの駅とも違う、独特の雰囲気のあるところだった。狭いエリアに店が集まっているが、歩く人の様子や古い具合が下町とは違う。吉祥寺のようか雰囲気もあるがあれほど開けてもいない。ドラマのセットみたいなところだなと思う。

委託先に見回りに行く会であった。偉い立場の人達が何となく似かよっていて、みな痩せて顔色が悪い。実務をやる人々は、それぞれ目の前のことを片付けるのに手一杯というのが伝わる。ダメとはいえないが、あの環境で働き続けるかと思うと心配になってしまう。

長距離の電車で戻り、打ち合わせに合流する。打ち合わせ先から持ち帰る資料をリュックに限界まで詰め、小学生のランドセルみたいになる。固い靴も相まり、何の修行だろう。

 

家に向かう道で、ゴミ捨て場をあさる影がありビビる。近付くと子連れであることがわかり、怖さは減るが何事かは増える。通り抜けながらちらりと見やると、どうやら外国の人で、古布回収に出された袋から、衣類を物色していたらしい。文化の違いという気もするが、持ち去り厳禁、の注意書きのもとを見てしまって、ちょっと暗い気持ちになる。