仮面福祉会

できることを切り売りしています

あれもこれも同じ世界線

暑かったり寒かったり寝たり起きたりして迎える朝。朝食付きのホテルで、食堂に行くと満載の人々であふれていた。ひとつの宿だけでこんなにたくさんの余所者が隠されていたことに驚く。旅行、めちゃめちゃ流行ってんのな。

 

少しでも人出を避けたく、早い時間の電車で平泉へ。迷わず徒歩で中尊寺を目指す。北上川を下に見据え、緩やかに登り坂になっている。桜並木らしき道を抜け、しばらく歩くと弁慶の墓をうたう石碑に着いた。

そこから林を登る道に入る。木陰から得られる安心感が嬉しい。まだ掃除をする人々のほうが多く、お店も閉じていて静かだ。あちこちにある小さなお堂に、折角だからとなるたけ寄って中を覗いた。

 

本堂に挨拶をし、金色堂へ。ただ口を空けて行ってみたいなあと思うだけで何も調べず来た。だからまず、建物の中に建造物があるのに目がしぱしぱする。ガラス越しに見えるピカピカはボトルシップのよう。まじまじ見回せば、すべての箇所にすごいものを作るぞという意気込みが満載されている。金キラなものは、力業で悩みも思想も吹き飛ばすポジティブさがある。

宝物館で、金色堂の3つのお棺の中味が並べられているのを見てぞわぞわする。これを開けるのに怯まないためには、余程のモチベーションがないと無理だ。私が古い布を怖がる根本は、こういう、昔の人の衣類の展示にある。ほら、なに、怖いってりっしんべんに布じゃん。急に金八先生みたいになるよ。

金具系はまだマシで、これらが新品だった時のことを想像する。

 

悔いなく見回り、道を戻る中で多くの人にすれ違う。掃除をする人もたくさん見かけ、この環境は人が入り続けてこそだなと実感する。

 

中尊寺をあとにし毛越寺を目指し歩く。途中施設などにより涼を取るが、ひたすらに暑い。中尊寺以外の史跡はほとんど庭園公園で、ずっと暑い。秋の東北に期待してた感じじゃなさすぎてくらくらする。毛越寺の5キロ先のポイントを目指したかったがバスもなく、歩きかけて、あ、無理だな、と悟って止めた。

予定より早い電車に乗り、汗臭さにひやひやしながら東京に帰った。

 

帰宅すると台所は散らかり、洗濯機のなかには洗い終わったものがそのままになり、生ゴミにコバエが集っている。洗い物をし、生ゴミにビニールを被せ、洗濯物を取り出すと洗われたティッシュが舞い散る。

なんなんだこの家は。

風呂とリビングを掃除していたら、父がのっそり出てくる。旅行から帰ったら半ギレしてる娘の意味がわからなかろう。

 

全てを整え、ラグビーの日本初戦を見る。コンテンツが多すぎるので、仕舞。