仮面福祉会

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生き急ぐように半ば駆ける

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夜中何度も起きながら、最終的に4時半に体を起こす。起きられてしまったので、行くしかない。と腹をくくった。

雲海を見に、秩父へ行くのだ。

 

始発電車に乗り、山のほうへ向かう。車内はまだ暖房のシーズンではないらしく、何となく寒かったが、西武秩父線に乗ると暖かい。快適だなーと思った瞬間に意識がなくなり、目覚めたら着いた。

わっせわっせと高台に急いで向かう。途中で見晴らしのよいところに出ると、街の上に雲の帯がかかっているのが見えた。おお、これか…と震え、坂を早足で登った。

左右に広がる景色を横切るように雲が居座っている。中でも北のほうに溜まっていて、途中から噴火のように縦に昇っている箇所がある。イメージしていた雲海はその名の通り一面に雲、というものだったので、海ではないなと思ったが、冷たい空気と不思議な光景で清々しい気持ちになり、大変に良かった。

 

ほくほく喜んで下り、喫茶店でモーニングを食べた。その喫茶店が何故か有田焼の源右衛門釜推しの店で、ステキな風呂敷とハンカチを買った。我が家も源右衛門釜ファンなのである。もうほとんど勝ったようなものだな。

 

ぎゅうづめのバスに揺られて三峯神社に向かう。バス内の高い場所に立っていたので、窓から見える渓谷に落ちてしまうような気がして恐ろしい。そこかしこの橋で工事をしているのも恐ろしさを助長する。

紅葉にはまだ早からんであったが、山の上に着くと、色づいていると言っても良いぐらいには赤、黄が混じりあう美しい景色があった。そうでなくとも山々は綺麗だ。神社は、杉が高く並び静謐な中にどっかりと鎮座しており、何もがでかい。建物の彫刻などひとつひとつが鮮やかで凝っていて東照宮を思い出させる。小さい祠がたくさん並んでいるのを見て、これCMで見たやつだな、と急に気が付いた。そんなつもりじゃなかったのだが、と、謎に言い訳がましく思う。

 

神社までの表参道が登山道だと聞いていて、山歩きはしたいがガチで登るのはしんどいな…と虫の良いことを考えた結果、下りを歩くことにした。あれこれ事前に調べるも、下りの情報が全然なく不思議に思っていたのだが、歩いてみてわかった。登山というのは、苦労して登って辿り着いて景色が綺麗だな!という達成感を求めるものであって、下りは強いてやりたいものではないのだな。

永遠と下りで、ちょっとぐらい平地があるかと思ったが本当に全てが下りで、大分早めに飽きたし、膝がしんどい。時折現れる滝などに癒されつつ、爆速で歩いて一時間ちょっとでバス停に着いた。清々しさは少しあり、それよりも安堵の気持ちが大きい。

 

バスに乗り、駅につき、お土産を買ってまた西武秩父線でおにぎりを食べながら帰路に着いた。目的は大体果たせたし、よい経験をした1日であった。

 

都心に帰りつき、蛇足のようにかき氷をはしごした。