仮面福祉会

できることを切り売りしています

顔のない何かとして話す口調

3月7日、になるといつも、こどものおもちゃのサナちゃんを思い出す。誕生日が本当は3月6日だったらサムになっちゃうじゃん!というくだりに、羽山がめちゃめちゃツボっていたシーンだ。あのマンガ、りぼんで小学生が読むには確かに尖っていたが、いま振り返るとケータイ小説みたいだったな。

少年少女向けのマンガ家さんは大人なのに、10代の子どもらだけの世界を描けるのがすごいと、歳を取れば取るほど思う。

 

車内広告をついまじまじと見て最近気になっているのが、ゲームキャラの衣装である。露出高めの衣装で、首の何かしらの飾りと、胸だけを覆うパーツがつながっているデザインをよく見る。

すごく肩が凝りそうだ。

しなくてもいい想像をして、そっと首筋を伸ばす。

 

勤め先で出している会報に寄稿を頼まれており、合間に他の作業を挟みつつ悩んでいる。数年越しで取り組んでいる報告書に関してだが、書いているとどうしても個人の意見みたいなものか滲み出てしまう。思えば「担当全体」という概念みたいな立場で、目的のない文章を書くのは初めてかもしれない。私の書いたこれが総意みたいになって大丈夫なのか、難しくて進まない。公式広報の中の人の仕事って、こんな感じだろうか。

 

見切りをつけて退勤し、コーヒー豆を買いに行く。お店で挽いてもらい、それを入れたリュックがコーヒーの香りで満たされるのが、前の一人暮らしぶりに思い出して嬉しい。しかし、久しぶりに買ったからわかる。すごく値上がりした。

 

2日前に買った紫芋が、出ている根の辺りからカビ始めているのに気付いてぎゃあ、となる。慌てて剥がし取り、洗い、キッチンペーパーとアルミに包んでオーブンのメニュー「やきいも」に任せる。

ピーピーとできあがりを告げる音に扉を開くと、熱で蜃気楼のようなものが見えた。狭い四角の部分だけ、時空が歪んだみたいでちょっと怖い。

 

外からバラバラいう音が聞こえる中、寝る。