仮面福祉会

できることを切り売りしています

主に移動する旅

6時過ぎに起き出し、昨日買ってきたりんごのケーキを食べる。

雪のあるところへ向かう。積年のタスクである、クロスカントリーをやりに。

 

ひとりでスキー旅行するという課題が難問で、毎年術を探しているうちに春を迎えてしまってきた。そしてついに、力技で解を見付けた。朝発の日帰りでいいじゃないかと。

更に松本にいる弟が4月に東京へ帰ると言うし、暖冬で3月上旬が限界ぽいし、ポイントで新幹線乗れるしと、要素でエンジンをふかし勢いをつけて飛び出した。

 

新幹線で長野まではあっという間だ。長野からのバスの方が長い。車窓の景色に段々雪が増えてくる。

 

バス停に降り、そこから体験をお願いしたチームの車でコースへ。夏にローラースキーに参加したご縁で、冬はぜひクロカンをと話していた。しかし1月急に活動休止となり、最近再開の報を聞いたのだった。どうしたのかしらと思っていたが、訊けば、代表が脳卒中(梗塞?溢血?)で倒れたのだという。

まじか。

軽かったのかと思いきや、運転中に意識がなくなって左半身麻痺になったというのだから、マジのマジのやつで青褪める。

しかしその人が今、目の前でクラシカルスキーを教えてくれている。

30代の元プロスキーヤーなのだが、若さか、アスリートだからか、多分両方だろうが、こんな回復があるのか。並々ならぬ努力が必要とはいえ、人間の希望を目の当たりにした気がする。(感覚的には麻痺があって、視野も欠けていて、前のようには動けない、とは言っていたから、本人はかなり辛いだろう)

 

そんな人に教えてもらうが、クラシカル全然できなくて笑う。あと純粋にめちゃめちゃにきつい。ずっと小走りしている。でも、走るより全然楽しいのはなんなんだろうか。

1コマのつもりが持ち前の貧乏症で、その後のグループレッスンにも参加して肺が痛い。最後の方は手足を動かす力が残っておらず、とぼとぼ歩いていた。でも楽しい。

普通のスキーだと永遠に手足が冷えストックが握れなくなりがちだが、流石に暖まったのも嬉しい。体力さえ持てば、今後スキーはこれでいいとすら思える。でも、1人じゃここに来られすらしないからなあ。

 

帰る頃に雪が降ってきて冷える。

近くの駅まで送ってもらい、松本まで普通列車で向かう、1時間半の道のり。新宿までの乗車券を買う様子を、送ってくれた代表が物珍しそうに見ていた。そうでしょう電車なんか乗らないでしょう。

 

松本には明るいうちに着いたが、もたもたしていたら暗くなった。松本城と芸術劇場を拝むぐらいしたかったが何もせず、弟の車に合流した。

 

弟夫婦の行きつけのイタリアンであれこれ話し、ピザもうまくて最高であった。弟は義妹によく育ててもらっていて本当にありがたい。義妹も、両親含めて会うときより遠慮がなくて素敵だ。2人に歓迎される自分でいたいなと思う。

 

日帰りだからいらんかと思いつつ職場に土産を買い、最終のあずさに乗った。

道のりは2時間半。発車の前にコンタクトを外す。車内販売でスゴイカタイアイスを売っていて、あるのか、と見たが、買わない。コーヒーが冷たい缶しかなかったから。

文庫本やイヤホンなど用意をしていたが、ほとんどの時間ただぼんやりしていた。

そうか私は、移動が好きなんだな、と思う。家でぼんやりしていても何も起こらないが、乗り物に乗ってしまえば、着くまでは何もしなくていいし、何もしなくても発展していく。最高じゃないか。

 

最寄り駅に降り立つと寒い。結局どこも平等に寒く感じる。