仮面福祉会

できることを切り売りしています

帳簿が合うのだろうか

転居して初めて、シャツワンピを着た。

丈が長く、アパートのクローゼットに裾が付くのを、いかに回避するか頭を悩ませていた。結果、ハンガーを段違いにして下の方に裾を畳み込む、という手を取ったので、折り跡がついてしまい、面倒でずっと保留にしていた。

ダメなら諦めんと霧吹きで大胆に湿らせ、自然乾燥で何とかする作戦。今日も乾いているし、無事に皺は伸びた。

 

グラノラをぼりぼり食べてから、仕事。

隣の職員がネパールの人と電話で懸命に話しているのをもどかしく聞く。話す向こうの様子を想像すると、詐欺に巻き込まれている不審な人でしかない。我々は真っ当と自認して堂々としているが、一般に詐欺と報道されるあれこれの、末端で加担している人も、同じような心構えなんではないか。その人々と我々は、客観的にどう違うのかしら。

やれる仕事は午前中に片付いてしまう。あとは主に、関係機関からの電話に対応する。

 

事務所を後にし、商店街の時計メガネ店に行く。

左のコンタクトが入れた瞬間に曇ってしまい、視野が永遠に夢みたいなのだ。メーカー正規洗浄液ならどうかと睨み、取扱店を調べた結果の、街の眼鏡屋である。

店に入るとシルバーの男性が奥から出てきた。この、見えないところから出てくる感じが商店だなと、即、味わい深い。

これこれの商品はありますかと尋ねると、まさか、これか?という表情で、商品ケースを開けてくれた。それだ。しかし見ると、使用期限が「2024年6月」とある。5か月じゃ使い切らないですよね、と店員さんは言い、なんと、半額になった。更に保存液も同じ使用期限であったのを、これはあげますと一緒に包んでくれた。あげる。なんてこと、商売であり得るのか。個人商店の衝撃である。

普通に売れないのだから当然かもしれないが、助かる〜と小踊りで帰った。

帰って今使っている保存液を見たら、期限は2025年となっていた。どんだけあそこに売れずにあったのかよ。今日捌けたことがむしろ、店にとって奇跡的なことだったのかもしれない。

 

誕生日だったのだ。