仮面福祉会

できることを切り売りしています

虚構の前提に現実があるはず

しばらく使っていなかった加湿器をつけた。エアコンから出る風に直接ぶつけるようにすると、稼働しているのかわからなくなるが時々白い靄が見える。それからうっすら窓が結露し始めた。

 

傘をさし歩くと、衣服の間を風が通り抜け寒い。一見暖かそうに見えるニットもウール地のコートも編み目が大きい。保温には良いのだろうが、保たれる温かさを持ち合わせていない。傘で風を避けながら縮こまって歩く。

 

たらたらと電車に乗りかき氷を食べに。

時々来るこの店は、店長さんがジョニーデップのような人で、腕からはおしゃれ入墨が覗き厳つい。サイドが短く前髪が長いヘアスタイルで、どのようにオーダーするのだろう。かき氷は外れなくうまいし、あらゆることにこだわりがうかがわれる。そのバランスが不思議で、マンガの人みたいだ。

 

雨は強くなったり弱くなったりうっとおしい。祖母の家を目指し、代官山から細々と東急線を乗り継ぐ。どの駅も小さく不便ですらあるのに、全部の駅がおしゃれで通っており、東急ブランディングとは何なのかと思う。

 

正月ぶりの祖母は、緩やかに衰えている以上には変わりなく、安心した。ここのところ訃報が続いていたし、伯父の病気のこともあり、祖母だっていつどうなるかわからないという意識を強めていた。

途中思いがけず、叔父叔母従姐家族がやって来て賑やかになった。今年中学生になる子どもに何年ぶりかに会い、健やかそうなことに気持ちが満たされた。クワガタが大好きで、クワガタプリントのTシャツを着て、中学では生物部に入るんだとあれこれ計画を聞かせてくれとても良い。自身にはそこまでの好きがない人生だったので、偏愛は羨ましく手放しで応援したい。

 

地元に戻り、昨日とは別のインド屋に行く。

恐らく蕎麦屋だったところの居抜きだとわかる作りが妙で面白い。店員さんの家族が店内で時間をつぶしていて、一切そこそこの子どもが厨房に入っていくのを眺めた。

味は昨日のところとあまり変わらず可もなく不可もない。

 

オーケーで買い出しをして膨らんだリュックを背負い、まだ雨が止まない。