仮面福祉会

できることを切り売りしています

鳴くまで待つ

朝、大体毎日すれ違う犬の散歩がある。

リードを引くのはスエットながらおしゃれ感のある人で、キャップを、顎を上げないと遠くが見えないぐらい目深に被っている様子からも、只者でないのではと思わされる。

そして犬は、顔がチワワだが、体がプードルだ。その外見が意外で、ますます気になる存在となる。

しかしどこかで見た違和感だな…としばらく考えていたが、あれだ、ハンサムなドラえもんだ。

と思って調べたが、私の記憶にあるハンサムなドラえもん像が出てこない。確かドラえもんの自認がそれだったと思うんだけどな。

 

月の5日から20日ぐらいに仕事が集中するので、ぼやぼやしていた先週が夢のようにあれこれ事象が起こる。こういう時にクレーム処理みたいなことが紛れ込むと本当に憂鬱だ。いや、いつでも憂鬱なんだけど。

必須の仕事を終わらせ、体制を整えてから電話をかける。でかい声を出したり恫喝したりするタイプの人ではないが、プライドが高く、自身の考えが必ず正しいと譲らない高齢者で長期戦になる。

相手の話を聞き、仕事の実績などには尊敬を示し、なるたけ機嫌良くいただきながら私のターンを待つ。上手な人はこんなに時間をかけないで何とかできるのかもしれないが、私はこの事に関しては急がば回れ、家康の姿勢で臨むことしかできない。

そうしながらも結局結論に至らず、来週月曜に持ち越しとなる。何の特にもならないので、修行と思うしかない。この辛抱強さが日常生活に全く生かされないのが不思議だ。

 

何やかんやで事務所を出るのが最後になった。だだっ広いフロアの端でごそごそ作業をしていると、徐に左の肋骨の辺りが痛む。深く息を吸うと痛みが増すので、浅い呼吸を騙し騙し繰り返す。

今ここで自分に何かあったとしたら、多分管理センターの人がそのうち来るだろうが、いつ気付いてもらえるのだろう。発見が遅れて死ぬとして、人生に思い残すことは特にない。ただ、定期でやってる仕事を余さず引き継げるだろうか…来週のクレーム電話はどうなるのか…。ということを取りとめなく考えていた。

程なく痛みは引いていったが、いつ何があっても良い準備をしておきたい。