仮面福祉会

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塀だけの定礎

毎朝、剣岳に分け入るのをテレビで見ていて、いよいよ死の匂いが濃い。映像が届いているということは無事だったのだろうが、人間が正気で向かう場所には見えない。岩壁を登りほとんどない足場に入り、あれ、帰りはどうするのかいな。帰路は省略、はゲームや映画でよくあるが、これは現実のはずだ。

そういうことばかり考えているので、ドローンで映される絶景が全然、ただの色にしか見えなくて甲斐がない。上からの画が見慣れないせいもあろうと思う。

 

電車に乗り合わせる人々の出で立ちがまちまちで味わい深い季節だ。朝、冷え冷えと縮こまり家を出るので、軽装な人に出合うと驚いてしまう。一方でときたまダウンも見かけ、それぞれであることが見える形になり面白い。

 

仕事は毎日ふわふわしていてダメだ。時々事務メールを送ったりシステム処理をしたりして体制を保つ。

しかし本題は時間外の打ち合わせで、業者さんにいい加減呆れかえった上司が、新たなステージの怒を示すがわかっているのか。問題を細かく分けて整理して1つずつ提示してあげているのに、策もなく永遠にゴニョゴニョ言うだけなので、こちらであれこれ勝手に決めて解散した。時計を見ると2時間以上経っている。

 

あれこれやって夜が更ける。食事を諦めアイスを、アイスを買って帰ろうとコンビニに入ると、うまそうなのが何種類もあって慌てた。いつの間にこんなに豊作になっていたの。ぐっと堪えて1つにし、食べながらぼてぼてと家まで歩いた。

数ヵ月前に車が突っ込んで以来、ようやくできあがったマンションの塀に、「定礎」の石が付けられていた。大層なものである。

 

明日の出張のためにブラウスにアイロンをかけて偉い。