毎日、今日こそはコンタクトをつけようと思うが、どうしても、永遠に、右目がかゆくて断念している。出張があるので、唯一上下揃っているスーツを着てメタルフレームのメガネをかけトレンチコートを羽織りローファーをはいて家を出た。
何ヵ月か前に、車が突っ込んで凪ぎ押されたマンションの塀が、ようやく元の形に直されつつある。部分を作るだけでかほどに時間がかかるのが不思議だ。家を1から建てるより時間がかかってないか。
主に電話を取り午前を終えてから出張、といってもより家に近付く場所へ。
これまで訪れた関係機関にはなかった、消極的で迷惑そうな感じが行くなり醸し出され、ちょっと予想外な程だったので出鼻を挫かれ怯んだ。しょっぱい、しょっぱ過ぎる。
それでも一生懸命和やかさを引き出そうとしつつ、終えてエレベーターに乗った瞬間に、しんどい、と言った。
しんどいので直帰を選び、まだ夕方の時間帯なのがもったいなすぎて都心に戻り服を買った。珍しく試着などしている間にどんどん人が増え、世の中のアフターファイブとはこんなものなのか、と体感した。
人と住んでいると、早く帰れた言い訳が必要なのだった。