仮面福祉会

できることを切り売りしています

人が近くて遠い

風が強く下り坂の天気を予兆している。シーカヤックをする予定だったが断念。洞窟とか行きたかった残念すぎるが命を大事に。

 

島の中をあちこち連れていってもらう。

樹齢の長い大きな杉があり、それは岩の間に生えていた。地中に根を張れないから、露出した状態で水分を取っているのだと書いてあった。上に下に幹が伸びて不思議な形をしている。周りにはシダ系の植物がたくさん生えていて、内陸の森林とは全然違って面白い。根の間にぽっかり空いた空洞に手を差し込むと、冷たい空気が満ちていてヒヤッとした。草土が生きているのを感じるのはちょっと恐ろしい。

 

たくさんある神社のうちのどこへ行こうと訊かれると、つい、古墳があるところを選んでしまう。昨日行ったところにも古墳があったが、あれは思い返すと何であんな行き着くのが大変なところに作ったのか不思議。神社の中の古墳は、神社の方が後だからさもありなんという気もする。剥き出しではあったが石室が残っていて、人間の仕業だということが示されていた。写真を撮って古墳倶楽部のグループLINEに送る。

 

それから滝のある神社へ。信仰対象の自然物が先にある神社が好きだ。雨が降ったり止んだりで薄暗く、じめじめと暗い杉林を進んでいく雰囲気は写真で全く捉えられない。足元を時々小さい蛙がぴょいぴょい跳ねてゆく。

滝は水量の多いものではないが、落ちかかるところから岩壁が抉れているために、シャワーのようにざんざん降るのがとてもよい。抉れている斜面にまわり、裏から覗き込むことができて壮観。見上げると岩壁がまあるく抉れているところに、ほこほこと苔や草が生えていて、すこし赤みがかっているものもありぐっとくる。永遠に見ていられるなこれは。

 

辺りは稲穂が干され、日本の田舎の風景が広がっている。その中を散歩するだけでも楽しいのかもしれないが、私は人間の作る景色にさほど興味がないので、あれこれ、主に草と岩を見られてよかった。旅そのものもそうだが、一人ではないのが輪をかけて久しぶりで、互いの興味が違うことがあるという根本的なことすら「思い出す」だった。

 

夜は寿司を食べに行く。どう考えても近郊の魚ではないのでマグロは食べない。寿司屋でマグロを食べないの、自由で嬉しい。