仮面福祉会

できることを切り売りしています

神とあらわして軽すぎる

夜中暑く何度も起きる。宿泊先の温度調節がかえすがえすむず過ぎる。

ありがたくも朝食つきで、何年か前に災害支援で毎朝バイキングであれこれ工夫していたことを思い出した。

チェックアウト時、キャンペーンで配っているので良かったら、と示された紙袋の中身が丸出しの一升瓶と米でビビる。これを持って飛行機に乗る勇気がないが、ホテルに泊まる人って大体そんな感じじゃないのか。

 

空港に着き、プロペラのついた小さい機体に乗る。思いの外穏やかに飛びさっさと着陸し寝る暇もない。

島に着くと友達が迎えに来てくれて合流する。すっかり甘えて何も調べずに着てしまったが、フェリーと船を乗り継いで見える景色が完全に旅行である。水平線などいつぶりに見るかねと嬉しくなって写真を撮る。街並みは、いくらネットやガイドブックでよさそうに書かれてもひなびた港町の感じで旅情となる。

しかし島はとにかく木々と岩土が最高である。電動自転車を借り、山道の車道をえいえいこいでゆく景色がどこもでかくて爽快であった。途中牛とすれ違いながらたどり着いた崖は、遠くを見る程吸い込まれそうでクラクラする。ぐんにゃりと歪んだ地層が剥き出しになっており、地球の馬力と伸ばされた時間をよくよく感じた。

ここに住む友達は生物が好きで、山とか石とか植物とかにはさほど興味がないのだという。そういわれると私は、100年とか1000年とかいう単位で語られる物が好きなんだと思う。時間を抱き込んだでかいものを見るのがただ楽しい。

 

再び船に乗り、風をまともに受けながら帰る。友達の借りている一軒家にお邪魔すると鶏が6羽いて、何もかもが全然違い比較する術もないが、よく住まえているなと感心する。

しかし夜ごはんを食べながら話すのは仕事の人々の愚痴だったりするので、どこに行っても悩みの行き着くところは人間であるのが業である。

ただ、好きな舞台とか俳優とか本の話を互いに一方的にしているのが、久しぶりの感じでとても楽しかった。そうだ私は好きなものがただ最低で最高だとかいう、話をしたいのだ。

 

夜は早々に布団を敷き、村上のホームランをヒューヒューと囃し立ててから寝た。あれもでかくてすばらしい力のある、拝むべきものである。