仮面福祉会

できることを切り売りしています

中に現れる外

先週まで、まだ早いかと出さずにいた夏服が、あっという間に本域で登場となる。
帰宅時に合わせてエアコンのタイマーをセットしておく。外に出れば朝とは信じがたい気温。乗るつもりだった電車が目の前で立ち去る。
次に乗った電車で、ゴルフトーナメントのらしき広告があるなと目をやる。しかしよく見たら、ベンチャービジネスのコンテストだった。大きな優勝カップを持っている+ジャケット、という様式で、ゴルフだと判断する自分に驚く。

出勤してすぐに向かった施設を取り違えており、無駄足の堪える暑さである。

関係機関に事業説明をする任務。自分でも話せるようにするため、ペアの子が説明するのを聞く。
他団体に異動して3か月が経ち、この組織には独特の言い回しがあるなと感じている。行政の作る文書に端を発するのだろうが、主語と述語を見失わせる文章で、そのため全体がぼやぼやし、結局何が言いたいの、となることが多い。それから福祉独特のワードのなかで、アレルギー的に嫌いなものがあるから、出てくるたびに引っかかる。
ペアの子はとても素直な性格だし純粋培養でもあるから、おそらく私が受け入れ難く感じていることは、理解できないものばかりだろう。そう思うと自分が何にこだわっているのか、ちょっと迷子になる。
昼休みを終えたら彼女が具合悪そうにしていたので、午後の説明は早速ひとりでやる。久しぶりに公の顔をして話して緊張したし、何で私は他所の団体の事業説明をしているのかなと我に返ったりする。

帰る頃まで余すところなく暑い。買い出しを決めていたから、汗をかきながらオーケーとドラッグストア2件をラリーし、エコバッグが腕に食い込む。最後に寄った八百屋で、いつも買っていたニュージーランドのリンゴが取り扱われなくなっており、悲しみに暮れた。

家に着くとタイマーの甲斐があり、朝の自分を拝んだ。キッチンであれこれするなか、シンク下を開けたら熱気が詰まっていてギョッとする。扉を開いたら別次元の場所に出てしまったみたいな混乱がある。何となく恐ろしくなり全部の扉を開けて、お手洗いのドアも開き、全部が室内になるようにした。