仮面福祉会

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みんなどこに眠っていたのか

春のような温かさと湿気を感じたものだから、軽量のアウターで家を出たら徐々に寒くなってきた。セーターの編み目から吹き込む風が冷たいので、ユニクロヒートテックを買う。

銀座周辺の店舗で、たくさんの外国人がフリースを抱えている。韓国風のしゅっとした店員さんが、タックスフリーの列に並ぶ人に、めちゃめちゃに流暢な英語で話しかけていた。ユニクロだったりスタバだったり、店員さんのレベルが高すぎて怖い。

Z世代全員こうなんじゃないのと思い込んでいるところがあり、社会的に駆逐される日もそう遠くなかろうなと、気持ちの備えをしている。せめて今着けている仕事で取って代わられないように頑張らねば。

ユニクロに行くだけでそんなことを考える。あと、ここにいる人全員、骨と皮の上にはヒートテックなんだろうなと思う。

 

ハブに行って東芝サントリーを見る。

ワールドカップぐらいいい試合だった。

バカみたいだが、東芝の選手たちからすごいやる気を感じる。モウンガが効きまくっているし、ジョネのきらめきが眩しい。松島が抜かれるのにほくそ笑んでしまう。

先週の開幕戦12000もだいぶ入ったなと思ったが、今日は30000を超えていたと聞き何ごとかと戸惑う。どういう潜在の人たちなんだ。

 

ほくほくして店を出ると、街がキラキラでたくさんの人が写真を撮っている。その多くがブランドのショッピングバッグを下げていて、景気!と思う。クリスマスって、こんなにみんな浮かれるものだったか。はわわと目を泳がせたすえに見上げると、でかいあんパンが見えてちょっと面白い。

 

そんな銀座三越前で母と待ち合わせ、弁当を買って歌舞伎に行く。夏目漱石の小説みたいだな。

久しぶりに、勘九郎の渋めな踊りを見られて嬉しい。しかし一緒に猩々をやる人が習いごとのようにぎこちないので、どこのお弟子さんか思ったら松緑だった。そうか、それじゃあ勘九郎一人じゃ踊らせてもらえないか。残念。

天守物語は、泉鏡花プラス玉三郎の耽美主義を味わう時間。何を見せられてるんだろうと思わないでもないが、美しい七之助を堪能できるツールとしてはありがたい。ただとにかく終始場が暗いので、どうしても眠くなってしまうし隣で母はしっかり寝ていた。

 

帰りに再びクリスマスな街を通り、母の思い出を想起させる。それらは大体最近で10年、多くは30年以上前の記憶で、過去が増えるとトリガーが多くて大変になるなと思う。