仮面福祉会

できることを切り売りしています

商戦に恐れをなす

大した心構えもなく新築マンションの見学に行った。改めて確かめるようなものだが、私は不動産の営業をやるような人が苦手だ。でかい土地と金を動かす灰汁の強さと脂ぎりぶりが、いくらか隠そうとされなお醸し出されるのを感じとる。住まうという当たり前の営みをするのに、そういう人たちを介さねばならないのが憂鬱だ。

少し話した後、イシカワさんは感情の起伏がなくて読みづらいですね、と言われた。自身では人並みぐらいに捉えているが、年中他人と会ってばかりいる職業の人が評するのだから、そうなのかもしれない。今まで婚活で断られてきた理由も要するにそれに帰結するようなので、認識を改めて正しいのかもと思う。自分の周りと比較しても似た者同士でよくわからない。

 

知らない街を歩き、電車に乗り、ラグビーを見に行く。久しぶりにキッチンカーでお昼を買ってイベントの気持ちを高めた。

昨シーズンから、試合を見ながら選手OBがあれこれ話すのを聞けるサービスが始まり、これがとても良い。試合の機微に対するねらいだとか攻守の優劣だとか、選手の得手不得手だとか心情だとか、自分ではわかり得ないことを話してくれるのが楽しい。コメントで質問すると100%返してくれるのも良い。
しかし観客数はそこそこで、見る分には気楽だが、もうちょっと集客して儲けたいよねと心配してしまう。下位のチームがもっと強くなってスター選手を輩出できるといいのだが。とりあえず私は一回はデクラークのためにキヤノンを見たい。

 

帰りに新宿に寄ると、クリスマスの人出が鬼で恐怖に震えた。一刻も早くここから離れねばならないと焦るが、プラットホームはごった返し、電車もぎゅうぎゅうである。

地元に帰り着くと、駅前のパン屋の店先に並ぶケーキを人々が物色していた。クリスマスとはこんなに皆々が浮かれるものであったか。休日だというせいもあろうが、私は今までぼんやり生きてきたとしか思えない。

と、いいながら、家も毎年クリスマスグッズが増えていることには気付いている。陶器の雪だるまに電池を入れると、星形の穴が色とりどりにピカピカと光り出した。生きる上での必要のなさがすごくて笑う。