仮面福祉会

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コンテンツがあふれた

異動前最終日。荷物に備えて、でかリュックを背負い出勤。

冷蔵庫に入れた豆乳をちょうど使い切って優秀。何度か使ったものの、どうしてもポリバルーンの味としか思えないドレッシングは、無になって捨てる。

 

最終日だし、仕事は少ないと油断したのがフラグのように、バッタバタになる。

 

午前中、出向だからというだけでものものしく辞令交付があるので本部へ。先日連れ立って出向先に行った副会長から、賞状みたいな硬さの紙を渡された。正面から見ると、スーツのサイズが合っていないのか、肩幅ばかり広い石仏のような体型だ。何か訓示をくださっている間、ネクタイの裏側から細い部分が覗いているところばかり見ていた。

 

昼は別担当の女性陣に誘ってもらう。歳は近いがしごできのうえ子持ちのみなさんで、人間のレベルが違い眩しくてしようがない。考え方も全然違い、フレッシュな風が通り抜けていくような清々しさがあった。たまにこういう異世界の会合で他愛のない話をするのはいいな。

 

午後、本部に飛び込みで相談者が来ているというので駆けつける。見取り図の人みたいな若者だった。若い人が来るのは珍しい。素直で真面目ないい子という感じで、こちらの説明を一生懸命聞いてくれて嬉しい。

良かった良かったと事務所に戻ると、散らかったデスクがある。関係機関に今日の今日で頼まれた仕事もあるうえ、上司に細々引き継いで、ほうぼうに異動の挨拶をして、パソコンを片付けて移動させて、え、無理じゃない?

自分の周りだけ風音が聞こえるような速さを感じつつ、片っ端から手を付けていく。結果、ほとんどの挨拶を省いた。来週から私じゃなくなっても、業務が進めば問題なかろう。

ただし、幸運にも大好きなSEさんからの電話をたまたま取り、いなくなることを伝えることができた。えー困りますねー、と言われ、やに下がる。あなたとのお別れは私も寂しいです。

 

気付けば終業時間になってしまい、帰らんとする同僚が次々声をかけてくれる。ただの異動なのに、みんな高そうなお菓子を用意してくれていて、私のために考える時間買う時間お金を裂いてくれたことに恐縮しきりである。それに報いるだけの価値を私は持たない。そのうえ、相手を喜ばせるリアクションを提供できないからすまない。

この先、もう死ぬしか、みたいな気持ちになったときに、ここまでしてくれる人がいた自分であるぞ、と言い聞かせようと思う。

 

パソコンの移動も諦め、次に来る人に申し訳ないがよろしくとする。リュックに文具や寝袋を詰め、手には満載のお菓子を持ち、事務所を飛び出した。

冷凍庫から、コーヒー豆(を挽いたの)を持ち出すのを忘れた。