仮面福祉会

できることを切り売りしています

寂しくて少し泣く

乾燥が極まってきたので加湿器を出す。湿度が低いのに結露することに納得がいかず調べると、空気は温度が下がるほど水分を内包できる量が減るとのことだった(多分)。ホコリと結露は一生の悩みなので、早く人智で解決して欲しい。

 

久しぶりのかき氷屋に行ってうまい。最寄りの商店街は大変なにぎわいだ。ずっとこうだったように錯覚するが、去年まではマスクをして黙々と生きていたのだよな。喉元過ぎるってすごい。

 

電車内の、美術展の広告映像で、AKB系のどれかのアイドルの子が喋っているのを見る。お洒落してアートな場所で友達とフォトジェニックな写真を撮り合って、それをSNSにあげたらお洒落になって、お洒落なカフェで友達と感想を言い合うんだそうである。

そんなにお洒落に。

今や何ごともともあれまずは映えであると聞いてはいたが、リアルペルソナ過ぎて、本当にそういう楽しみ方をするのか?とにわかに信じがたかった。

 

山手線に乗ってお洒落で有名な目黒に行く。

一度見てみたかったバンド?がイベントでライブをするというので、場違いを承知で現場に向かったが場違いで震えた。古着屋やハンドメイド作家などが出店するイベントで、そもそも私は古い布が怖いのである。それはさすがに我慢するとして、来ている人々が当然みなおしゃれだ。そして多くは小学生の子どもを連れており、その子たちもおしゃれで、スケボーやボルダリングで遊んでいる。キッチンカーでクラフトドリンクを買い、ピザやホットドッグを食べながら、控えめなDJが作る雰囲気を楽しんでいる。

致死量である。

5分で所在なくなり、一旦離れてベンチで休んだ。いやいや、堂々とすればいいのだよと気を取り直し、ライブが始まる頃を狙って再び会場に入った。始まってしまえばハートフルで有耶無耶に楽しかった。所在なささえ何とかなれば、フェス的な場で知らん音楽を聞くのは楽しい。10代の頃に抗体を得るルートを取りたかったものである。

 

帰宅し、近所に住む先輩の家まで自転車をこいで行く。中学生のようなフレーズだがアラウンドフォーティーズの出来事である。

剣道部OBグループLINEで、ブラジルに送る防具を募集するお知らせがあったのだ。もう剣道はやらないと決めた後も、捨てるのが忍びなくずっと気がかりだった防具に、まさに天啓である。自転車のカゴに防具一式と木刀を乗せてわっせわっせと漕ぎ、道着も付けてバーンと献上し、何もなくなった。

何もなくなったらちょっと寂しくなった。

本当にもう剣道やらないんだな、と改めて思うと後戻りできなさが怖い。そしてこれからも、こうやって過去を手放しながら生きていかなきゃならないのだ。死ぬまで。