仮面福祉会

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文学ということをようやく知る

いだてんの美川くんが夏目漱石に影響され過ぎているのがとても良い。
思春期に読んだ本でその後の人生がこじれる感じ、あるなと思う。それがリアルタイムの漱石だというのが面白い。

千円札が夏目漱石でなくなって随分経つが、漱石がお札になるほど偉い人なのかというのを謎に思っていた。教科書で「こころ」を読んでも先生がなんだかよくわからないし、神経衰弱になったりイギリスでひきこもってたり、めんどくさそうな人だな。「舞姫」の豊太郎の気持ちならわかるし、ドイツでうかうかしていた森鴎外のほうが良いな、と思っていた。

しかし結局、その後せっせと読んだのは漱石のほうだった。私はなんだかわからないものをわからないまま読んだり見たりするのが好きなのだ。
そして最近、何かの本で「漱石は完成された江戸っ子だった」と言われているのを読んで、そうか。と思った。

江戸っ子なのに英語のために海外に行かされ、俺は漢語が好きなんだ…とぼやきつつ英語教師をやり、落語や歌舞伎を見ながら山の手富裕層に向けて小説を書くなど、アンビバレントの嵐の中で、胃を悪くしながら生きていた夏目漱石
大変いとおしくて良い。

漱石は小説の内容どうこうより、日本語によ文学表現ということを考えていたのだなと解釈している。そういうことや、時代のこととか客層のことなど考えると、少しわかるような気がして楽しい。

美川くんはどうして漱石にかぶれたのかな。