仮面福祉会

できることを切り売りしています

泳がせておいて泣きながら殺す

携帯をポケットに入れたつもりで落としてすぐに回収した。
駅のホームで落として即、駅務室に届けられていた。素晴らしい連携プレーでありがたい。
受け取りに際し、身分証はいらないからロック解除をしてみせてくれと促された。何という未来。たとえ名前が書いてあったとしても別人を騙る方法は思い付くが、スムーズなロック解除は確かに証明ができたという達成感があった。

自分のものであると証明するのは難しい。金が最たるものかと思うが、歌舞伎においては血縁のことでよくごちゃついている。
実は親子だったとか兄弟だったとかいうのが重要な展開になることがよくあって、そういうときには大抵、揃いのお守りとか、着物の切れ端とか書き付けとかを、そっと懐から出して答え合わせをしている。

兄弟かもしれないと揺れる恋愛ものは韓国ドラマなどによくあるイメージだが(もしくはママレードボーイ)、禁断の恋、というのにぐっとくる人が多いんだろう。

歌舞伎だと、知らずに結ばれた弟妹を、兄が殺す。
苛烈。

近親相姦は畜生道に堕ちることだからとかいうんだけど、今となっては意味がわからないし、殺されるのも仕方ないと思ってる人は多分誰もいない。しかし役者が本当に泣く泣く殺すので、そうか辛いけど殺さないといけないんだな・・・と説得されて、すごい生き物だなと感じ入って見ている。

昔は自分の子どもであるという証明がし難いかわりに、自分の子どもかどうかあまりこだわっていないように思えて、それは少し羨ましい。

それにしても今年はものを落とし過ぎているな。