京都に行った目的である南座の四谷怪談は大変良かった。南座に行くと、上方のお客さんたちが七之助に懐柔されていく様が感じられてとても嬉しい。
ずっと七之助のお岩さんが見たい見たいと思っていたので実現してありがたい。玉三郎の勧めだったそうで、大変よくわかっていらっしゃる。
今まで見たことのあるお岩さんは勘三郎さんと扇雀さんだったが、全然イメージが違って、儚くて美しくて悲しい女の人という感じが強くてよかった。それからお岩さんは、立役と三役早替わりでやるところも見どころのひとつだが、七之助の立役が先月から冴えまくってて素晴らしくて思わず笑う。特に与茂七がかっこよすぎて眩しい。壱太郎のお袖さんとの夫婦とか最高かよ。
筋書に、境界に立つ役者というコラムが載っていてよかった。愛之助は上方、中車は俳優、それから七之助は女形の境界に立つ魅力があるという話で、そうそうそれなんだよな！
七之助は女形としてもはや、誰もが一目置く存在になっているけど、お譲吉三とか弁天小僧とか男まさりな女役とかをやっていると生き生きしてるし、立役をやっても「女形がやる立役」にならないのが唯一無二ではないかと思っている。
しかし四谷怪談は何度見ても伊右衛門のことが理解できないんだよな。七之助のお岩さんで四谷怪談をぜひもっと掘り下げてほしい。
他の役者さんの良さもちゃんとお知らせせねばと思うのに、想いがあふれ過ぎて気持ち悪い感じなってしまうのを抑えられない。
伸ばしていた前髪に合わせてばっさり髪を切って清々しい。
