仮面福祉会

できることを切り売りしています

つまらない仕事ではないことを

商店街から駅までに候補者が立ち並んでいる。どちらさまかしらと掲られたのぼりに目をやると、「テイクアウトできます」と書いてある。ドトール

 

昨日の反省をふまえ、新人さんにやってもらうことを3つ4つ用意して臨む。まずはエクセルを50個に分けてもらうような作業だが、終わって見た結果コピペのやり方を間違えていて全部やり直しで時間が稼げる。根本的になにかがおかしいが、おかげで落ち着いて仕事ができて良かった。

 

定時で帰る宣言で仕事じまいをし、神楽坂へ向かう。大体10年ぶりぐらいで、前職の上司に会う約束がある。相手がどんな風になっているのか、私がどのように見えるのか、何の話をしたらいいのか、心配が目白押しでナーバスになる。

しかし、ついに、中村屋行きつけの焼き鳥屋に行けるのだ。

元上司は当時から時々、寿司とかスッポンとかアンコウとか牛鍋とか藪蕎麦とか、良いお店に連れていってくれご馳走してくれた。多分そういう大人の経験をさせてくれようとしてくれたのだろう。今回は完全にその打算で焼き鳥を提案したが、もう部下じゃないし、何の得もないのに私が接待される状態で、少なからず罪悪感を覚える。しかしそうまでしないとこの店に行けるチャンスはないと、強い気持ちで臨んだ。

 

店内は思っていたより入りやすい雰囲気で、カウンターは客で埋まっていた。焼き鳥は勝手に出てくるスタイルで、違いがわかるほど舌が肥えていないが、食感が良いしうまいのは確か。焼いている様子を見ていると、こんなに色々作業があるのだなと感心する。

あちこちに、古いものから最近のものまで、中村屋のサインや隈取りが飾られていて、ほんとうなんだ…と思う。2004年に勘三郎さんが書いた物があり、子どもみたいな字でグッとくる。

元上司が店主さんに、勘三郎さんは何のお酒を飲んでたんですか、と尋ねると、嬉しそうに色々話してくれた。何だ、そういうミーハーな話していいのか。私は、好きはなるたけ隠すものと考え生きている。多分、好きがバレると避けられる思春期恋愛模様からきている戒めてなのだが、もしかすると、オープンにしたらより深い仲になれた人たちがいたのかもしれない。

飲んでいたお酒はバーボンだそうで、帰りがけに元上司は、バーボン持ってまた来てください、と声をかけられていた。メインターゲットはどっちかっていうと私なんだと言いたかった。

また、今度は自分で行こう。

 

ところで10年ぶりに聞いた前職まわりのあれこれはさすがに様々であった。元上司は独立し、辞める直前結核だった先輩は店を開いたり閉じたりし、社長が捕まって不起訴になったりしていた。

そんなことあんのかよ。

今の仕事の話を聞いても、私が働き続けていられた仮定は思い描けない。あそこで働いていた事実は今や夢のようで、判断は適切だったと言える。

話を聞いて楽しかったが、私は私の仕事を、興味深く聴かせる術を持たないのだなということを思い知り、反省した。侮られないようにしたいなら、語る言葉を持たなければ。

 

足がむくんで熱く、掛け布団を軽いものに変えて寝た。どうやら塩気が強いようだ。