仮面福祉会

できることを切り売りしています

あんこはしあわせ

隣の部屋の電話が一斉に鳴り始め、時間になったのがわかった。

開業とともに鳴るのは知れたことで、しかし一向に止まない。つまり、取れていないということだ。何で。という無策のイライラを半年以上繰り返している。互いの無能を突き付けられるよう、というか、事実で、悲しい。

 

隣室の電話をやむを得ず時折拾うが、こちらはこちらの電話がある。こちらは、頻度は少ないが沼に落ちがちだ。ダメなものはダメなんですと繰り返し、そこらで見かける子育ての様子をつい思い出してしまう。一緒にしたらガチ切れられるだろうが、折衝できない、一方向にしか力が働いていないことに対して、とにかく訴えるという構図が重なる。

 

昼を持っていかなかったので、パン屋まで走ってサラダのパンとあんパンと豆パンを買って食べた。適当で嬉しい。

 

定時すぐにでも帰れそうだったが、電話を捌けな過ぎることについて、上司が業者さんと話すのを待つ。結果、来週からシフト制であちらを手伝うことになった。委託費からお手当てがほしい。

 

それはともかく給料は十分いただいているが、もっと稼いで生活に必要のない美術品などを買えるようになりたい、という夢のような欲求がある。それには今の仕事だけでは頭打ちで、かといって株などで稼げる気もせず、何か切り売りできそうな仕事はないものかな、という妄想に落ち着く。凡人の考えそうなことである。

 

パンで満足できる人間の考えることの現実感のなさよ。