仮面福祉会

できることを切り売りしています

生まれた瞬間からの定め

うかうかしていたら、いつも乗る電車を逃してしまった。やむなく混み合った車両に滑り込み、息を潜めた。

相棒が休みで、上司が出かけ、事務所に一人になる。気になっていたところに掃除機をかけてから、来週のイベントで使うクイズを考える。
変な仕事だ。

昨日観念して作った昼ごはんの、砂肝がうまい。
昼休みには背後のテーブルに、別の階で働く人々が集う。我々とは全然違う、事務仕事をしている人たちだから、話題も自分では絶対に持ち出さないようなものが多くて興味深い。
今日は件の知事選のSNSなどのことを、ワイドショー的な切り口で話していた。自身は同じ案件について、未来が危ぶまれる由々しき出来事と捉えて暗い気持ちになっているのだが、ランチ中のおもしろ世間話ぐらいに考えている人の方が多いのかもしれない。

午後いちから自転車をこぎ出し遠くまで行く。時間の許す限りチラシなどを配っていると、外でモルックをやっているのに出くわした。思わず飛び込み参加したくなるような盛り上がりを見せている。一方同じ場所の室内では、太極拳らしきことに真剣に取り組む人たちがいる。最後に辿り着いたのは腸活に関する講座で、ここにも20人ぐらい集まっていた。
それぞれの場にいる人たち同士は互いの様子を知ることはないのに、自分はホッピングをして、思いがけずメタになり、大変心強い。

講座の会場でやった相談会では、それ目当てでわざわざ来てくれた相談者から、わりかし長尺で話を聴く。相手が単館系の映画のような組み合わせで、この人たちは実在するんだろうかと一瞬不安になるような様子だった。

終業後、大学に行く前に夕食をとりに店に入る。注文した肉野菜炒めに肉が入っておらず、別皿でもらった。

大学は、別の大学の先生の招致講義の日。先生の目の前で、意識が飛びがちで白目を剥いてしまう。
後半グループ討議の時間があり、周りの人々と「どういう場面で意見が言いにくいと思うか?」という問いについて話した。それで自分が真っ先に思い付いたのが「家族」であった。改めて考えて、生まれた時から力関係が決まっていることの、他の関係ではあり得なさと、難しさを、理論的に実感する。

寝る前に、NHKプラスでソーイングビーを見る。出ている人たちの発想と、できあがった洋服の個性が楽しくて見ているが、挑戦者たちの関係性も気になる要素だ。競い合う立場なのに、1位を取った人を祝福し、脱落する人を寂しがる。本当なのか、ポーズなのか、上手に編集しているだけだろうか。