駆け抜けた昨日を終え、迎える朝。チームのメンバーに宿を貸している。
いつもの朝スープを、ひとりで食べるのも何となく気が引けるので、彼女にも出した。自分が作るものに全く自信がないから、無理させていないかという心配の方が勝つ。
慣れないことをしたせいか、スープを温めるさい、いつもどおり電子レンジの「飲み物」を使ったら、爆ぜて器がひっくり返り惨事になった。
更に朝洗濯までしたせいで、出がけ二人でバタバタとした。
祭りの2日目。今日は初めから参加し、午前から演奏を始めた。朝一のラッパが思いのほかしんどく、1日乗り切れるか心配になる。
11月とは思えない陽の光の強さ。日に当たると暑く、眩しく、日に背を向けると前に付けた楽譜が光って見えないほど。会場は昨日よりも賑わっている。
心配された演奏も徐々に温まり、お客さんたちも昨日よりノリノリで、踊ってくれたり(踊るのは大体海外の人だ)。
加えてなぜか子どもへの引きが良く、一時、しゃべるのも完全にはできないような幼児が集合した。足元でもぞもぞ何か話しているから訊いてみると、ぼくも太鼓持ってるよ、とのことである。子どもが興味を示すと、親が楽しそうにしてくれるので嬉しい。
会場の外、歩道橋の上から聞いてくれている人たちを認め、ますます調子に乗る。ぐいぐい吹いたら口が疲れ、演奏としてはグダグダになるが、楽しい。
待機テントでは、調理担当の人が休みなくまかないを作ってくれていて、その手際は感動的である。おかずに大量の焼き鮭があり、ハラスがうまいので1年分ぐらい食べた。
それから、見たことがない長さのチュロスが大量に提供されたのを、一生分ぐらい食べた。
近くでは他にも複数のイベントが開かれ、空いた時間に見に行く。すぐ隣りに違う世界が広がっている様が、東武ワールドスクエアのよう。
暗くなってから最後の演奏をし、良い感じにできあがったお客さんたちと別れを惜しんだ。
軽い気持ちで始めた楽器で、まさかこのような光景に出会うことになるとは、想像しなかった。自分が何者かになったかのような勘違いをさせるできごとの連続であった。
役目を終え、少し飲み、しかし全員疲れが勝って、終わりを名残惜しむこともないまま、ぼんやりとした心持ちで、8時前には三々五々となる。
チュロスを食べ過ぎたので、練る前にコーヒーを飲んだ。