仮面福祉会

できることを切り売りしています

駆け付け一吹き

 仕事である。

の、前に、ゴミ出しをすべく一度家を出た。袋をダストボックスに収め、戻ろうと手に握った鍵を見たら、チャリの鍵である。

まずい。

スマホもない。アパートには管理人もいない。時間は8時を少し過ぎたところ。思い余って、隣の家のインターホンを鳴らすが応答はない。そうだよね私だったら出ないよ。誰かが出入りするのを待つしかないか?仕事に間に合わないかもしれないし間に合わないことの連絡もできない。

悩みに悩んだ末、大きな声では言えない方法で中に入った。一人部屋で、すん、という顔をした。

ばたばたと仕事へ。まつりで手作りのガチャガチャをやる。中に入れていたのは組織のシールだが、子どもたちはガチャをやるだけで欲求が満たされるらしく、かわいい。

昼過ぎに終え、楽器チームの演奏するイベントに向かう。道すがらリードをくわえ、試しに音を出したら、思っていたよりでかくて慌てた。会場に近付くとラッパの音が聞こえてくる。文字どおり駆け付け、吹こうと思ったらリードが外れてあぶあぶした。

初めこそバタバタしたが、慣れてからはひたすら楽しい。もっとうるさがられると覚悟していたが、結構多くの人が聞いてくれているのがわかる。いい気分になり、上手になった気がしてしまう。

待機テントにいると、ラッパの本場国出身だという人が現れ、最後2回ばかり一緒に吹いた。その人はわかりやすい英語で話してくれ、言っていることは大体わかるが、答える単語が全く捗らず、気を使ってしまう。

差し入れや賄いをいただきお腹がいっぱいだが、帰りにちょっとだけ居酒屋に寄った。隣のグループがひどく下品な話をしている横で、永遠に楽器界隈の話をし続けた。