朝食用のスープが無味だ。
昨日、冷凍しておいた食材を鍋に入れ水分を加え火を通しスープとした。が、そういえば、「味」を何も入れていない。自分が作ったものには何も期待していないが、さすがにこれでは素材すぎる。
カレー粉を溶かした湯を加えた。
急に明らかに寒い。遠慮なくダウンの裏地をつける。代わりに中の衣服を軽めにしておく。
外に出ると手が冷たい。つい数日前Tシャツで活動していたのに、今や手袋のことを考えている。季節の難易度の何と高いことか。
妊娠しているペアの子が、体調不良で朝数時間休む。と、伝えてくれた上司の顔がこわばっていた。2人分の命がかかっているという事実を、いかに重大と考えているかがにじみ出ている。母体とはそんなにも脆弱なものなのか。
彼女が来たのと入れ替わり、中抜けして一度帰る。ベッドが届くのである。
弟からもらったベッドを解体したパーツをまとめ、マットレスを立てて寄せ、昼ご飯を食べながら配達を待つ。久しぶり昼のテレビでも見るかとつけたが、ターゲット層じゃなさ過ぎてすぐにしんどい。結局、BSでやっていた百名山を眺めるに留める。
予定時間帯のちょうど真ん中頃に、配達員さんがやってきた。売り場で見るのは既に組み立てられた状態だから、部品になってやってくるとわかっていても、実物は嘘のようで疑いの気持ちが沸き起こる。3つの箱に分かれたそれぞれが難なのかわからず、とりあえず一番大きくて平たいものを開き、中身を引っ張り出した。頭と足の部分で、それらに引っ張られるように、説明書と金具が出てきた。初めに開けたのが別の箱だったら、全然意味がわかんなかっただろう。思いがけないゲーム性がある。
わっせわっせとネジを留めたり外したり(つけ間違えた)しながら、何となく全貌が見えたところで、職場に戻った。
2時間ばかり仕事をしてから、大学院に向かう。自転車をこぐのに、手袋をつけた。
帰りに、ベッドの下に仕込む延長コードを物色しに、家電量販店と100均に寄る。21時を過ぎても当たり前に店が開いているのは助かるが、それが当たり前の繁華街が恐ろしい。
帰宅してから、残りの部品をはめて、無事にベッドができ上って嬉しい。
前に一緒に働いていた年上の女性が、例えば新しい携帯の設定とか、基本的に技術の必要な全てのことは、人に頼る前提でいると言っていたのを思い出す。私は全く逆で、今回も全部一人でできるだろうと踏んだし、実際にできた。ただしその人は天ぷらを揚げるぐらいの料理をするが、私は無味のスープを作っている。
弟からもらったマットレスが分厚いから、腰かけると足がつかないぐらい高い。もし落ちたら、割と痛い目に合うだろう。