仮面福祉会

できることを切り売りしています

本物の天下一武闘会

久しぶりに天気が悪い。冬の雨は、降ると春が近付く気がして嫌だ。

 

職場の福利厚生で、相撲の割引チケットを買ったので母と見に行く。その前に北斎美術館のチケットがあるので寄る。

百人一首北斎、という企画展だったが、百人一首にこじつけた北斎のものではない作品も多く、個人的には物足りない。基本的にどの作品もまめまめしく小さく、白黒のものは刷りも薄いのですごく頑張らないと見えない。双眼鏡が必要だったな、と疲れきってしまったが、北斎は、改めて、描く対象への理解が深さが恐ろしいな。

北斎美術館の外の公園にある、多分富士山を模した遊具がとてもよい。

 

雨の中、江戸東京博物館が改修中のため遠回りして国技館へ。ちょうど車から降りてくる力士に出くわしてでかい。あんなのにぶつかられたら事故だ。

国技館の中は活気があってそわそわする。客の接待をする人から土俵を永遠に掃いているひと、ころころ代わる呼び出しと行事など、たくさん、たくさんの人が動いていて、それこそ浮世絵の中のようで面白い。加えて方々のスタッフがもと力士であることは有名だが、ショップなレジに立つ様子が体育会系で、大学祭みたいで楽しい。私は単純なので、体の大きい男の人は頼もしくて好きだ。

地下でちゃんこを食べ、和風オードブルを買い母とマス席で分け合う。土俵では十両の手前の取組が進んでおり、ちょうどこの間白鵬が紹介していた宮城野部屋の落合が出ていたので応援する。下半身の筋肉が見るからに強そうで素晴らしい。その後も宮城野部屋の川副が、体のでかい相手を土俵際でばーんと投げ飛ばしていてすごかった。上がってくるのが楽しみだ。

十両では朝乃山と炎鵬が大人気。朝乃山は素人が見ても只者じゃない落ち着きがあって早く大関までのし上がってきてほしい。

こうして下から順に見ていくと、幕内に入るというのは大変なことなんだなぁと実感される。生まれ持ったフィジカルの差は現実的にでかいうえに、我々にはわからない技術の才能もありそう。あんなに、文字通り裸一貫単純なスポーツも深淵を覗くとくらくらして怖くて面白い。

 

弓取り式を見てからどやどや波に乗って国技館を後にした。

 

人と足並みを揃えて行動すると、ひとりで出かける10倍疲れる。途中から頭が痛くなり、やたらと咽が乾き、肩がこる。帰宅して久しぶりに屍のかたちになった。こんなことだから私は自身の家族をもてないのだ。

 

理由はわからないがここ数日父の機嫌が悪い。父の振る舞いを遡って改めて検証すると、ご多分に漏れず亭主関白でモラハラの香りがする。軽くではあるが、それに気付くたび、早くこの家を離れねばなるまいなと思いながらぼんやりしてしまうのだった。