仮面福祉会

できることを切り売りしています

あばたもえくぼも盲目

区民ホールの前をとおりかかると、歌謡曲コンサートを聞きに来たおばあちゃま方と、何かしらの怒りの集会に参加するキャップとマスクの人々が、それぞれエリアを作って立ち並んでいた。
昼ごはんに中華料理屋に行くと、円卓の相席に案内された。大体同じぐらいの年代で漏れなく他人の女性が円卓を取り囲み、自分も含めて全員麺と半チャーハンのセットを食べていた。
そういうアートなの、と誰かが言ったのを思い出した。日常は当人の意識しないところでうっかり前衛表現みたいになるので面白い。

しかしまぁよくもこんなに水を溜めこみましたねという程の雨である。家の中のものが全部何となく湿っており憂鬱だ。うっかり生理ちゃんの話などしてしまい、女は少なくとも半月は不調だと書いてあるのを読んだりしていたが、万物大概そんなもんかもしれない。一年のうち、ちょうどいい天気で温度の日なんて、半分もあったら幸せが過多なぐらいだ。

先立って北の故郷に帰っていった知り合いが、冬がとても厳しいところだが、そこが好きなのだと話しており、とんだ強がりもしくは惚れた弱みみたいなもんかと聞いていたが、何となくわからないでもない。全部が文句なく良いものよりも、嫌だったり変だったりどうかと思うところがあるもののほうが、深く愛せる感じがある。入り込み過ぎるとDVから抜け出せない傾向のやつだ。

暑くなって冬が恋しくなっていたが、ちょっと寒すぎるな。