仮面福祉会

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暗黒時代とのちに呼ばれる

中村屋のお弟子さんの小山三さんが、古い芝居小屋の楽屋がよくわかる映画だと言っていてずっと気になっていた「藤十郎の恋」のDVDをついに買った。長谷川一夫なのは知っていたが、相手がついこの間亡くなった京マチ子なのは知らなかった。
長谷川一夫などはほとんど歴史上の人物みたいに思っているが、知っている人が生きているうちはまだ、のりしろという感じがする。教科書に載るような歴史や文学上の出来事も同じように思っていて、のりしろが着々とこちらへ近づいている。もう少ししたら、高度経済成長とか、大阪万博とかがのりしろになってくるのかな。

勘三郎さんが亡くなった時に三津五郎さんが、肉体の芸術ってつらいねぇ。そのすべてが消えちゃうんだもの。本当に寂しい。つらいよ。と言っていた。そう言っていた三津五郎さんも間もなく死んでしまったが、これに対して継承していくことで残る肉体の芸術ということを、確か野田秀樹が描いていた。
歌舞伎などの肉体の芸術は何百年に渡って継承されているが、それは最初の誰かと全く同じわけがないので、残っているとも言い難い。勘三郎さんも三津五郎さんも様々な人に芸を引き継いでいて、例えば息子たちなどに2人を見たりすることもあるが、勘三郎さんではないのでやっぱり寂しいしつらい。
百も千もそのまま残る可能性があるという点ではやはり、文字文学が最も強いだろう。それもこんなデータ社会になったらどの程度か知れない。

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