仮面福祉会

できることを切り売りしています

踊るばかりで歌わない

大変恥ずかしいことに踊るのが好きなので、好きなダンサーさんのワークショップなどに時々参加している。かっこいいのとか自分を解放しましょうみたいなものは輪をかけて恥ずかしいので、何やってるんだろうとみんなでへらへら笑っちゃうようなやつ。

最近参加したのは、例えば人の動きを真似するとかちょっと発展させるとか、ハードルの低い一つ一つを組み合わせて進めていくだけで踊りに見えてくるというので面白かった。
普段はやらないような動きでも、2人以上の関係性でやれば何となくオッケー、という話の流れで先生のダンサーさんが、1人で踊ってて楽しいのかなと思っちゃう、と言っていた。確かに素人としては1人で踊る人の度胸たるやいかにと震撼するし、鑑賞する立場としても、よほど好きな相手でないと、何を見せられているんだろうという感が正直ある。

しかし歌舞伎の踊りは1人のことが多い。多分根本的にフォーメーションとか塊としての表現という発想がない。1人の踊り手が全部の客の注目を浴びて成立しているのは、役者が主軸の芸術だからだとか、伝統芸能だからだとか理由は様々言えるだろうが、生々しさがないというのがでかいのではないか。ぼんやり眺めて、かっこいいなとか綺麗だなとか可愛いなとかあの形がいいなとか神々しいなとか思っているだけでいいので、大した娯楽だ。

最近どこでも何かと踊りがちだが、みんな楽しそうでよろしいことだ。よろしいことだが、自分が好きなのはそういうことじゃないなと思っている。