仮面福祉会

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しかし日常は続く

2年前に死んでしまった祖父のことを考えていた。
祖父は大正9年の1月生まれで、2020年に100歳になる予定だった。2020年といえば、東京オリンピックである。

全て本人が言っていたことで証拠は全くないが、祖父は1940年に予定されていた東京オリンピック三段跳びの選手として目指していたらしいのだ。
幅跳びの日本ジュニア記録を持っていたので、上京して大学の陸上部に入り、オリンピック出場を目指していた。しかしオリンピックは中止になり、徴兵されて地元でずっと塹壕を掘っていた。ジュニア記録を出した時の新聞も記録も全部戦争で残っていない。30歳の時にオリンピックの予選会には出たが全然ダメだった。
と、いう話だった。

本当かな。と、正直疑っている。似たような人の話を、自分の話に盛り込んで信じていたのではないか。
しかし、死ぬ3か月ぐらい前まで一人で東京駅辺りまで歩いて出かけていたぐらい足腰の丈夫な人で、多分ごりごりに陸上をやっていたのは本当だ。だから、目指してた、というだけならホラでもないかもしれない。
あと、生まれ年で計算すると、ぴったり不遇な目に合うのは事実だ。

ちょうどいだてんが不遇な目に合ったところだった。
戦争は本当につまらない。と、何人かのお年寄りから聞いたことがある。当たり前のように繰り返している日常が送れなくなり、想像していた未来がこず、世代間の大きな捻じれと溝を生み出す。もちろん人が死ぬ。

大河ドラマは今まで日本史だったけど、今年やっているのは日本史で世界史で一般人の話なんだな、としみじみ感動した。