仮面福祉会

できることを切り売りしています

整理整頓をしたくなる

高校で福祉の授業をやるので、一度事例検討を試しにやってみた。
ひとつの世帯について、あり得る範囲で思いつく限りの課題を盛り込み、福祉のことを考えるきっかけづくりをするというねらいであった。

80代の高齢者と40代の息子の2人暮らしで
息子は無職でずっと家にいる
家はゴミ屋敷化
高齢の母が近所で迷子になってよく保護をされている
毎週来る孫に息子が金を渡している
近くに他の親族はいない

などなど
で、ざっくり「どう思う?」とか「どんな問題があると思う?」とか「どうしたらいいと思う?」とかの聞き方をしたら、
「息子に家を掃除してほしい」「息子に働いてほしい」という「息子がんばれ」意見が複数あった。続きで、ゴミ屋敷のままではヘルパーさんに来てもらうなどの支援ができないよね、という話をしたら、「母子で生活してるし、孫も出入りできてるのだからヘルパーも家に入れるのでは?」という意見が出た。

そうか、そうだよな。
高校生だものな。問題は本人ががんばって解決すべきものだし、がんばらない者は怠けていると思うよな。実際心身ともに健康な高校生だったらそうだろう。
息子もしんどさをきっと抱えているのだとか、家族ならいいけどヘルパーに無理はさせられないのだとかいうことを、腑に落ちてもらうのにはまだ若すぎる。

という、改めて噛みしめることもありつつ、福祉の視点をお伝えして、いつか思い出してもらえらたよろしいし、進学の時に福祉を研究するのもよかろうと思ってもらえたらもうけものである。

高校生でなくても、がんばる気力のある人にとっては、先の事例を理解していただくのは難しかろうと思う。理解してもらえなくても、現実にある話としてせめて責めないでもらえるとありがたい。
実際にこのようなことはその辺で起こってるし、もっと大変なことになっている世帯もたくさんある。

アンケートに、イシカワさんは優しいなと思った。みたいなことを書かれてしまう。優しいから福祉のことができて、私は優しくないからできない。と決められてしまうのが一番困る。
別に優しいから「がんばれ」と言わないわけでなくて、がんばれないことってあるなと実感しているのと、じゃあどうする、ということを考えるのが好きなんだと思う。