仮面福祉会

できることを切り売りしています

今年も無事に春が来てよかった

坐骨神経痛のためリハビリ入院をしている祖母のところに行くと、前々から約束をしていたので番所繰り合わせていた。しかし出かける準備をしているところへ、友達が来るから2時~4時を避けて来てくれと連絡がある。コアタイムだそれは。冒頭からつまずく。

何やかんやで目黒川に桜を見に行くことになった。混んでいるだろうと思ってはいたが、あれ程までとは知らなかった。混雑に加担して申し訳ない。集団の波を読むのに思わず黙してしまうが、まだ咲ききらないのでしづ心なく花の散るということもなく純粋に桜は綺麗だった。

義経千本桜という演目がある。場面によって時代物だけでなく舞踊や世話物風のものもあり、ひとつの演目で楽しいことがたくさんある。しかし例によって通しでやるのを私は見たことがないので、あれとあれは同じ話だったのかと驚くぐらい人間模様がさまざまだ。
その中でも千本桜というぐらいなので、吉野山の段が大変有名である。舞踊で、静御前と家臣の忠信が義経のところに向かっている場面なのだけど、最近勘九郎が忠信をやったときに、引っ込みの時に少しだけ桜が見えるようになった、というようなことを言ってた。
あの人たちは時々そういうことを言う。三味線を弾いている人の後ろに月が見えたとか、踊りが素晴らしすぎて胃が痛くなったとか、玉三郎がそこに佇んでいるだけで吉野山の桜が見えるとか。比喩だろう、とは思うのだが、修行を積み重ねると感受性がそこまで研ぎ澄まされるということも、あるのかもしれない。私でも後光が差して見えることぐらいはあるしな。

見えない桜をきれいだなと思うどころか、本物の桜を見ても、見たな、と思って一瞬で満足してあとは帰ることばかり考えていた。団子でも食べないことには間が持たない。

31331だったな。