仮面福祉会

できることを切り売りしています

しかし北国では春を待っているだろう

生暖かくて憂鬱だ。春が苦手なのだ。

東北はからっとした明るさがあって、東北の人はとことんダメになるとて明るい、というような話を井上ひさしがしているのを読んだ。草原がある、何もない、人もいない、木が1本立っている。淋しいけれど白々と明るい感じ、わかるなと思う。

東から北は寒さに諦めたのちに明るい。
西は暖かくて豊潤で自然に明るい。

歌舞伎でもざっくり江戸歌舞伎上方歌舞伎があって、個人的なイメージだと、江戸はやけくそで上方はべたべたしている。
どっちも悪口みたいになったな。

仕事でときおり災害支援に関わるのだけど、現地に入っていくとき西と東北では反応が違ってくるという話を聞いた。実際西に行ったときには、現地のひとがあまりにもするすると受け入れてくれるので、逆に心配になった。逡巡しないってことがあるのか。

どこへでも行けるし行けなくても全世界がネットでつながって、全部が段々平らになっていく今となっても、
日本の中の西日本と東北違いのような、説明のつきづらい小さくて大きなことは、ずっと変わらずにあり続けるのだろうか。
平成も終わろうとしているのに、高度経済成長期の時は、いやそれ以前に廃藩置県で、明治維新で、戊辰戦争で、そもそも坂上田村麻呂が、とかいう根っこが意味を持ち続けているとしたら、とても面白いのでそのままであってほしい。

今日も辛くて疲れたが、しょうがないから明日もがんばろう、というような白々とした明るさが好きだ。
寒くて冷たくてつらいが、清々しくて清潔な冬が好きだ。