仮面福祉会

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雪は暗くて悲しいもの。という感じがしない

雪が降った。
雪が降ると宮沢賢治の、あめゆじゅとてちてけんじゃ、というのを音読させられたのを思い出す。今日のうちに遠くへいってしまう妹よ。

歌舞伎で雪が降るのは、辛くて厳しい場面ばかりだ。歌舞伎でなくても、雪が降ってハッピーという感じのものを、子どもの歌以外に聞いたり見たりした記憶がない。
東京で雪が降ると子どもがはしゃぐ。大人は迷惑がるが、多少浮かれる気持ちも否定できず、陰惨な感じはしない。
宮沢賢治は岩手の人だし、江戸も今よりもっと冬が寒くて、じっと籠って耐え忍ぶものだったんだろうと思う。

雪が降っているのを歌舞伎だと、ドン、ドン、という一定間隔の太鼓で表す。物音ひとつしない様子を「シーン」と表したのは手塚治虫だと聞いたことがあるが、ただの天才だ。
説明はつかないが、確かにそんな感じだな、という表現があり、納得している。

納得しているが、自分に騙されているのかもしれない。多くの人がそういうものだと受け入れているので、いつの間にか当たり前になっただけではないか。吹雪にホワイトアウトの雪国では、雪はドンドンじゃ済まなかろう。

今日の雪はパラパラ降って、中途半端に凍りそうで困る。
意外と陰惨としているかもしれない。